ソリッドレイ研究所は、私と仲間 5 人で 1987 年 2 月 1 日に設立された会社である。約 18 年前である。どのくらい昔かと言うと、「世の中にマウスが登場した頃」と言えば良いだろうか、そのくらい昔の話である。当時、立体映像の専門会社として設立されたソリッドレイは、見込み客もスポンサーも何もない状態だった。資金は、資本金の 2300 万のみ。だが不思議なことに「これで 6 人が何ヶ月生きていけるだろうか?」などと心配する気持ちは誰も持ってなかった。設立当初は、立体の勉強をしなければと大学の先生とか企業の立体研究者とかを訪問していろいろ話を聞かせてもらう毎日だった。

運命の電話はそんな 2 月 18 日にかかってきた。かけてきたのは、日産自動車の中央研究所の方であった。

私: 「もしもしソリッドレイ研究所です。」

相手: 「こちらは日産自動車の中央研究所の者ですが、立体の専門の会社が横浜に作られたと聞いて電話をかけました。」

私: 「はい、立体の専門会社です。」

相手: 「実は、立体映像装置を探しています。そちらには、そういう装置がありますか?」

私: 「あ、はい、あります。が、どのようなモノを立体視したいのですか?」

相手: 「弊社のクレイで計算した流体解析の結果を立体で見たいのです。」

私: 「クレイ?」

相手: 「科学技術計算をさせる高速コンピュータです。当社で最近購入したものです。」

相手: 「その計算機で車のボディ周りの流体を計算したので、それを見たいのです。」

(不思議だ。何故いきなり日産自動車から電話が来たんだろう?)

私: 「ところで、どうして弊社をお知りになったのですか?」

相手: 「実は、立体映像の装置を探して S 社の研究所に電話をしたら御社の事を教えてくれたのです。」

何と!数日前に立体の話をしてくれた S 社の人がたまたま日産自動車からの電話を受け、ソリッドレイの事を伝えたのであった。結局、日産自動車の方がソリッドレイまで試作段階の立体映像装置 RAY 20(写真 A )を見に来る事になったのである。しかもクレイで計算した結果を持って来るので、それを立体で見たいと言う話になった。

←写真A
創業当時の写真、 中央は RAY20
   
 
 
 
 
       

デモの当日、日産自動車 中央研究所の T 課長とそのスタッフの方々が、東神奈川の小さなビルにある弊社(写真 B の2階)まで見学に来てくださった。


  写真B
  18年前、このビルの2Fでソリッドレイ設立
                         
 



持ってきたデータをローディングして RAY20 を皆で覗き込んだ。そこには、流線が立体的に映し出されており、 T 課長は装置をのぞきながら「うん、こういうのが欲しかったんだよ」
とつぶやきました。

T 課長「これを購入したいのですが、おいくらですか?」

私「350万円です。しかし、これは試作品なので、本製品納入は6月になります。」

T 課長「それでいいですよ。」

(う〜ん、こんなに話がうまく進んでいいんだろうか?夢か?)

さらに T 課長は驚くべき事を私に話した。(後編に続く)